諸橋の講義シリーズ

ここでは、この表題の趣旨に基づき、私が 「ゆとり教育」 の始まる以前に書いた、諸橋の講義シリーズ (旧々課程) 全5冊
       数Ⅰ講義     基礎解析講義     微積分講義     代数・幾何講義     確率・統計講義
を公開します.上のプルダウンメニューからアクセスして下さい.
そのさい、すでに絶版になった参考書ですが著作権は私、「諸橋   実」にあることをご承知ねがいます.課金はしませんから安心してご利用ください.

上記の 旧々課程の参考書」 というのは
         1978(昭和53)年告示、1982(昭和57)年実施
学習指導要領 で学んだ生徒を対象に書かれた(ごく( ワタクシ的な) 参考書というほどの意味ですが、なぜかそれが今や 最先端の参考書」 になってしまったのです.「そんなバカな!」と思うでしょうが、よく考えるとやはりそういうことになるのです.
しかしこの事情は、長い間、学習指導要領の変遷 をそういう目で睨みつけてきた人間にしかわからないでしょう

ザックリと説明します.ただし、これは年寄りの独断偏見と思って下さい.
1945(昭和20)年、日本は太平洋戦争に負けてアメリカ軍の占領統治下に入り、既存の文化遺産はことごとく破壊されました.ちなみに私はこの年の生まれです.
旧来の日本の数学教育も廃棄され、当初はアメリカ流の生活密着型 (たとえば等比数列は利息の計算から入るというような)の数学教育であったとっ聞いています.
その大混乱の中で、心ある人々はケナゲにも残骸を寄せ集めて「自分たちの数学教育」を再び確立しようと頑張ったのであろう.このことは十分に想像できます.
そして改訂に次ぐ改訂を重ねて、ひたすら坂の上の雲を目指したのではないか.そういう目で見ると「上記の改訂」はその 「最高峰の雲」 に 見えてくるのです.
しかし、悲劇はそこからです.
あるとき、フト後ろを振り返ると子どもたちがついてきていないことに気がついた.そこに都合よく 「ゆとり教育」 というなまあたたかい風も吹いてきた.
そこで何をしたかというと、まず重要であるかどうかにかかわらず難しいものはみな除いた次に「数Ⅰ」をウンと軽くして、ヤッカイなものは数Ⅱ、数Ⅲにまわしてしまった
壊すにしても、何もここまでメチャメチャにしなくとも、もっと賢いやり方はあったであろうにと悔やまれますが、もうあとの祭りです.
そしてその結果、配列組み立てもない何とも不思議な数学ができてしまったのです.
どうやらコトの顛末はそういうことのようです.
そして、こういうカタチの損失は、実際はここ20年くらいの間に生じたものとはいえ、そう簡単に回復できるものではないから、そのことも計算に入れると、これは国家的な長期大負債です何とも取り返しのつかないことをしてくれたものだものだと思います.

最後にこのシリーズが最先端の参考書」である理由を述べておきます.
直近の指導要領の改訂による教科書を見ると、少しずつではあるがもとにもどそうとしている傾向が見られます.とはいえ、一国の若者たちの、ひいては国家の命運のかかる指導要領のことだから、分量もさることながら、性急にコトをなすわけにも行きますまい.それに、今となっては、もう 「 もともとどうであったか 」 さえわからなくなってしまいました
しかし、人々が冷静に、そして謙虚に「どうあるべきか」を考えれば、ショセンは先に述べた坂の上の雲 に向かって歩かざるを得ないのです.
「 このシリーズ 」 は、その最高峰の雲」 を下敷きにして当時の若者たちの入試対策将来の展望につながるように再構成したものです.
だから、「このシリーズ」「最先端の参考書」である以外、その他のありようはないのです.これでその理由が少しおわかりいただけたでしょうか.

改めて 「シリーズ全体」 を眺めてみると、新鮮でなかなかよいでカンジはないですか.
若いときに書いたので、肩に力が入っているキライはありますが、それだけに手抜きは一切していないだから安心してしがみついてもよいと思います.
せいぜい頑張って勉強して下さい.