1学期

私の講義は04/19(火)から始まりました.校舎は河合塾横浜校、担当する分野は「東工大クラス」「国公立理系クラス」「数III微積分」です.
この「数III微積分」で、まず戸惑うのは次の2つの極限であると私は考えています.
\displaystyle\lim_{\theta\to 0}\frac{\sin\theta}{\theta}=1~~\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots(1)
\displaystyle\lim_{h\to 0}\frac{e^h-1}h=1\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots(2)
そして、(1) の角 θ は弧度法(ラジアン)で表示され、導関数の定義にしたがって
(\sin\theta)'=\cos\theta\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots(3)
を導く根拠になっている.そして「弧度法(ラジアン)」はこの(3)に始まる「三角関数の微積分」を実現するために開発された角の測り方なのだ.
また、(2)も導関数の定義にしたがって
(e^x)'=e^x~~\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots(4)
を導く根拠になっているが、用途の応じて
\displaystyle\lim_{t\to 0}\frac{\log_e(1+t)}t=1,~\displaystyle\lim_{t\to 0}(1+t)^{\frac1t}=e,~\displaystyle\lim_{x\to \pm\infty}\left(1+\frac1x\right)^x=e
とカタチを変えて現れる.しかし、これらはみな同じ式なのだ.つまり、1本が与えられれば、そこから他の式は誘導される.そしてこの
e=2.718281828459\cdots
という無理数は、(4)に始まる指数関数、対数関数の微積分」を実現するために開発されたきわめて人工的な数なのである.
まずは、このことをわかってもらいたい.そして先人の知恵感動してもらいたい.その上で微積分に入ってください.
これらについての詳細は 微積分講義の30ページ以下に書いてあります.

ここまで書いて、フト心配になってきた.もしかして君たちは「弧度法(ラジアン)」の意味も考えず、「e のありがたさ」に感動することもなく、(3)と(4)を覚えていきなり問題にとびかかって行ったのではないか.そりゃマズイ.大ケガをするか、下手をすると死んでしまう.
中間テストや期末テストでは何とかごまかせても、「本当の実力」が求められる入学試験ではそうは行かない.
先日の春期講習の最終日、1人の生徒に玄関で会った.「先生、ボクはバカでした」という.
私は 「じゃあ、利巧になるしかないね」 と言って別れた.彼は今どうしているだろう.
ともかく、何の感動もなく問題演習をしたところでそれだけのことでしかない.それらの背景を知り、おのれの無知を噛みしめ、先人の知恵に感動することなくては成長はあるまい.
まだ、君たちに人生は始まってもいなない.それを納得できるものにするかどうかは、ひとえに君自身にかかっているということを覚悟したらいい.勉強は教わるものではない.自分で勝ち取るものなのだ.頑張ってください.

 

(工事中)

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