「ベクトル・空間」を終えて(2)

要するに、このイベントで私は何をやりたかったのか、実際には何がやれたのか、を真摯に検証しておかなければならない.イヤな作業だが自分で蒔いた種だから仕方がない
この「ベクトルと空間座標」というテーマをそれなりに講義しようとすれば爺さんの独断と偏見(?)を貫くしかない.なにせ、高校の教科書には「平面の方程式」が入っていない.だから「空間座標」全体がガタガタになってしまっているのだ.それを何とかつないでやりたいと思うが、それは親心というより、まあ教師の性(さが)というものだろう.
まず、 xy 平面上の直線
l~:~ax+by+c=0
の係数である a, b を成分とするベクトルが上記の直線に垂直(法線ベクトル)であることをわかってもらうことだ.そして、この方向の単位ベクトルから「正射影の長さ」「正射影ベクトル」を説明して、「点と直線との距離の公式」として誰もが知っている
|ax_0+by_0+c|/\sqrt{a^2+b^2}
を誘導して見せる.このテーマのマクラにHesseの標準形の説明をしたが、すでにここで「丸い目が三角になった」ことがアンケートから読み取れる.面白かった.
さて、そこまで行けば、空間のおける「平面の方程式」
\pi~:~ax+by+cz+d=0
で表されることから、上記と同様に「点と平面との距離の公式」
|ax_0+by_0+cz_0+d|/\sqrt{a^2+b^2+c^2}
で与えられることは簡単に了解できるはず.まあ、テキストには詳しく書いておいたからその気になればイッキに読み通せると思う.ちょっと目先が広がったのではないかなあ.

ハナシは前後するが、全体では、まず「ベクトルとは何か」類別の説明.そして「 1次独立」を説明し以下「分点公式」を水源として「ベクトル方程式」「領域」までを1からげにする
その上で 「内積」だが、これが問題だ.あまりよくわかっていない.そしてその定義
\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}=|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta\cdots\cdots\cdots\cdots(1)  
\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}=a_1b_1+a_2b_2\cdots\cdots\cdots\cdots (2)
だが、「どっちがホント?」と聞いてみた.みんなキョトンとしていたが、爺さんとしては(2)だと思う.そして(1)は(2)に合わせるためにカタチを整えたと読める.その証拠に(1)で2つのベクトルのどちらかを単位ベクトルにとれば正射影につながってくる.それを、まだ意味の見えない(1)から入って図形的イメージに振り回されてボロボロになってしまった.ちがうか?
そこで(1)と(2)をつないでみる.教室で
|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta=a_1b_1+a_2b_2
と書いて、「証明したことある?」と聞いてみた.しかし、そんなことは思いもしなかったようだ.
というのは、内積計算のカナメになる「分配則」
\overrightarrow{a}\cdot(\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c})=\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}+\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{c}\cdots\cdots\cdots\cdots (3)
(2)の形からしか証明できない.それを「文字計算と同様に」とだけ覚えて切り抜けようとするからベクトルだかスカラーだかわからなくなってゴチャゴチャになってしまうのです
だから心当たりの人は、急きょ(2)の定義にしたがって(3)の証明を試みてください.要するにこの(3)が「内積の芯柱(しんばしら)」なのです君たちの最もシリアスな病根叩きのめす良い勉強になりました

さて、次は「数III微積分  06/18(土) 」です.この時期に「その全体」を眺めておくことはとても良いと思います.2学期に飛躍的な展開をするための基礎工事です.
また元気な顔を見せてください.

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